Nuclear Medicine・PET
核医学・PET
核医学・PETグループでは最新鋭の機器を導入して、機能画像、molecular imagingを推進しています。また、アイソトープを使った治療も担当しています。
診断領域
微量のX線やγ線を出す放射性同位元素(RI: radioisotope)を体内に投与)し、その分布状態を画像かするのが、シンチグラフィ、SPECT(single photon emission tomography)、PET(positron emission tomography)といった検査です。
シンチグラフィ・SPECT検査
さまざまな種類のアイソトープや薬剤を投与することで、生体内のほとんどの臓器(中枢神経、循環器、呼吸器、消化器、泌尿生殖器、内分泌臓器、筋、骨、リンパ管等)の機能評価や腫瘍、炎症等の病変の検出、質的診断、活動性等を安全かつ簡便に調べることができます。最近ではコンピュータ技術の向上により、生体内臓器の動態解析や統計解析などにより、発展してきています。トピックスとしては、アルツハイマー型認知症をはじめとした変性疾患の統計学的画像解析法による鑑別診断を行っています。
PET検査|腫瘍FDG-PET
癌などの多くの腫瘍はブドウ糖を活発に消費していますので、FDGというブドウ糖類似物質をたくさん取り込みます。FDGには18FというアイソトープがついていますのでこれをPET装置で撮影すれば、多くの腫瘍はFDGがたくさん取り込まれた異常像として描出されます。つまり、病気の活動性を利用した診断であり、病変の大きさや形に左右されない診断が可能な検査で腫瘍の検出や転移診断などに非常に鋭敏で、CTよりも優れていることが明らかとなっています。
融合画像診断
熊本大学附属病院にはガンマカメラ3台(内、SPECT/CT装置2台)とPET/CT装置が配備されており、形態学的画像診断であるCTやMRIと核医学画像を容易に融合でき、個別には診断できなかった診断がしばしば可能となってきました。乳癌、皮膚癌、頭頚部癌等のセンチネルリンパシンチや虚血性心疾患におけるCT冠動脈造影と心筋血流シンチの総合診断等に応用しています。
治療領域(内容療法)
I-131 内用療法
甲状腺機能亢進症や甲状腺腫瘍の一部のものは、薬剤を服用したり手術をしたりすることなくアイソトープを内用することによって治療が可能です。
●甲状腺機能亢進症:
内科的治療や外科的治療などで効果が得られない患者さんでも治療対象となります。β線を出すヨードのアイソトープ(I-131)を内服し、甲状腺を中から放射線照射し機能を抑制する治療です。ほとんどの場合は外来で治療が可能です。
●甲状腺腫瘍:
甲状腺腫瘍の一部のもの(乳頭癌や濾胞癌など)はヨードを取り込む性質を持っていますので、β線を出すヨードのアイソトープ(I-131)を内服すれば癌細胞の中から放射線治療をすることができます。手術後の取り残しや再発、リンパ節や肺への転移などが治療の対象です。治療には約2~3週間の入院が必要です。
Sr-89 内用療法
癌の骨転移に対して、手術、化学療法、内分泌療法、鎮痛剤、外部放射線治療法等で、疼痛コントロールの不十分な患者様への疼痛緩和を目的とした新しい補助的な治療法です。骨代謝が亢進した骨転移巣に薬剤が集まり、骨組織でβ線を放出し、腫瘍細胞や造骨細胞、破骨細胞に対する直接的な放射毒性効果を発揮することなどにより、疼痛緩和効果をもたらす。外来で、注射を投与するだけで可能な治療薬剤です。
90Y-イブリツモマブチウキセタンによるアイソトープ標識抗体療法
低悪性度 B 細胞性非ホジキンリンパ腫、または、マントル細胞リンパ腫が治療の対象となっています。放射性同位元素(アイソトープ)であるイットリウム-90(以下、90Y)とモノクローナル抗体(イブリツモマブ)を使用したRI 標識抗体療法です。90Yを結合したモノクローナル抗体を静脈注射し、リンパ腫細胞に結合した抗体の90Yから放射されるβ線によってリンパ腫細胞にダメージを与えます。B細胞性非ホジキンリンパ腫やマントル細胞リンパ腫に多く存在するCD20抗原というたんぱく質にだけ特異的に結合するモノクローナル抗体を使った薬剤です。